ご挨拶

第12回日本外来精神医療学会総会 開催のご挨拶

第12回日本外来精神医療学会総会
大会長 張 賢徳
(帝京大学医学部附属溝口病院精神神経科 教授)

 来る平成24年7月7日(土)、8日(日)に、帝京大学板橋キャンパスにおきまして、第12回日本外来精神医療学会総会を開催させていただきます。  病院収容主義が基軸であった日本の精神医療の転換点となった精神保健法(昭和62年、1987年)の成立から四半世紀になります。その法律は、精神障害者の人権擁護制度の確立を目指すと同時に、「精神病院から社会復帰施設へ」と精神医療の軌道修正を促すものでした。その後、平成7年(1995年)に精神保健福祉法へと改正され、「社会復帰から地域社会へ」という方向性が示されています。この流れの中で、当然のことながら、精神科の外来医療の重要性が益々増しています。しかし、誠に残念なことですが、精神科医療に割り当てられている診療報酬は低く、外来医療を充実させるようなシステムも未整備であることは周知の事実です。さらに、精神科臨床医として危惧するのは、ここ数年強まっているように見える、世の中の精神科医批判の風潮です。  このような逆風の中で、私たちは今日も診療を続けねばなりません。制度上の逆風や風潮の逆風に身を縮めているだけではいけないと、最近その意を強くしています。さまざまな制約や逆風がある中で、私たち臨床精神科医として何ができるのか、また何ができないのかを真摯に考え、それを私たちの側から世の中に発信していく必要があると思うのです。  この思いを実現させていただく機会として、この総会のテーマを「日本型の精神医療を考える」とさせていただきました。日本の現状で実践できる精神科医療を真正面から考える、そのような総会にしたいと思います。  もう1つ日本の問題として取り上げたいことは、宗教性のなさです。宗教的な基盤が確立されている社会では、宗教的ネットワークが悩み事相談の一翼を担うわけですが、今の日本はそのような状況にはありません。それ故、日常的な悩み事相談まで精神科医が担当せねばならない場面が起こります。診療時間の制約が大きい中で、「正常な悲しみ」や「正常な不安」にどこまで対応できるでしょうか-これも日本型の問題点であり、本総会で考えたいと思います。  限られた資源の中で、よりよい精神科医療を実践するにはどのような工夫が必要か、それを多職種で考えるような総会にしたいと思います。多くの方々のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。

平成23年10月吉日

大会事務局

第12回日本外来精神医療学会事務局
帝京大学医学部附属溝口病院
精神神経科
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